今回は、廃用症候群(はいようしょうこうぐん)についてお話します。難しい言葉に聞こえますが、病気やケガにより寝たきりが続いたり、体を動かす機会が少なくなると、元々の病気やケガとは別に二次的障害を発症するものです。例えば、骨を折ってギプス固定をした後、骨は治って固定を外したものの、その他の関節が固まったり、筋肉が落ちてしまうなどが想像しやすいと思います。
その他に、病気やケガにより寝たきりや家で安静にしていることで、筋肉が弱り外に出ることも面倒になったり、台所に立つことすら億劫(おっくう)になったりと、今まで普通にやっていたことが面倒になり、不活動になることで、さらに筋肉が脆弱(ぜいじゃく)になることを廃用症候群といい、病気やケガにより不活動になり、筋肉が衰えさらに不活動が続き、認知症になるというような負のサイクルを指します。また運動器だけでなく、血液循環や食欲の低下など内臓の働きを低下させる他に、家に閉じこもりがちになることで、うつ症状や認知症を引き起こすリスクも高めます。
病気やケガなど患者様それぞれ症状が違うと思います。家に引きこもりがちなら、まずは外に出て日の光を浴びる。歩けるなら少し散歩してみるのもいいでしょう。
杖などの補助機も考えるべきです。安心安全ではあるが、その方にとっては過剰な補助になっている可能性もあります。これは腰痛ベルトにも言えますが、痛みを恐れ過剰な補助により、本来自分の筋肉で支えないといけないはずが、かえって筋肉を弱らせる方向に向かいます。
杖や腰痛ベルトは、症状によって必要でない場合もあります。判断が難しいことが多いので、かかりつけのお医者様に相談してみてください。
高齢者の方は、体の痛みから不活動になりやすく廃用症候群へと移行しやすいです。痛みをそのままにせず、しっかりと治療し動ける体作りをしていくことで廃用症候群の予防につながります。