今回は若年層から中高年に起こりやすい腰痛についてお話していきます。
成長期の中学生でスポーツをやっている学生に多い腰の疾患に、「腰椎分離症」があります。ジャンプや腰を捻じる動作の多いスポーツに発生しやすく、腰椎に繰り返し負担をかけ続けていくと、ひびが入りさらに悪化すると疲労骨折を起こします。これを「腰椎分離症」と呼びます。スポーツをやっていて、腰痛が長期的な学生は要注意です。医療機関での画像検査が重要になります。「腰椎分離症」とお医者様で診断された場合、残念ながら原因となったスポーツの長期休止が必要になります。焦って完治せずにスポーツに復帰すると腰痛が慢性化しやすく、その後骨がくっつかないと骨折していた骨がずれる腰椎分離症へと移行し、スポーツを引退し社会人になった後も腰部の痛みに悩まされる結果となります。
中高年に最も多いものはやはり「腰椎椎間板ヘルニア」でしょう。30~50歳代の特に男性に多くみられます。腰椎(腰骨)と腰椎の間には椎間板というクッションの役目をする組織があります。この椎間板は外側が線維輪という硬い組織で覆われ、中心に髄核というゼリー状の組織で構成されています。目玉焼きの白身が線維輪で、黄身が髄核と想像してください。
ヘルニアは、この黄身が白身から出てしまったものを言い、この出た部分が背骨の中を通る脊髄神経を圧迫し下肢に痛みしびれを出す坐骨神経痛といった症状を引き起こします。また、黄身が白身から飛び出す手前の黄身が中心よりづれたものを椎間板症といい、これはヘルニア予備軍です。下肢にしびれや痛みのないものの慢性的な腰部の痛みがある方は当てはまるかもしれません。
腰部の痛みのほとんどが体の柔軟性不足や日常的に同一姿勢が多く運動不足が原因となります。お医者様で痛み止めなどを処方されている方も多いと思いますが、根本的には自分から治すという気持ちが大切です。体が硬い、運動不足は本人も自覚があるところだと思います。特別なストレッチや運動が必要ではなく簡単なもので結構です。小さなことからコツコツ続けていきましょう。